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不登校生に関する福井大教育学部の取り組み

 福井大学教育学部は、不登校の子どもたちに対する取り組みで、素晴らしいプログラムをやっています。


 札幌市では来年度から、フリースクールへの財政支援とともに、不登校への新たな取り組みとして退職教員中心に個別に不登校生徒に対応する「心のサポーター」制度を始めるようですが、福井の取り組みはその弱点(退職教員だけだとどうしても学校サイドからの対応になる)を補う大事な方向とも考えられます。


 福井のプログラムは、大学と教育委員会が全面協力し、教育学部の学生が必修で個別に不登校の子どもと関わり一緒に遊んだり勉強したりするものです。任意の学生ボランティア的な不安定なものではありません。やり方がとにかく徹底しています。


 4月年度はじめに、顔合わせをし、個別に1対1の組み合わせをつくり、週一回必らず子どもの状況や希望に応じて家庭、学校の相談室、適応教室その他で継続的に1年間活動します。福井県ではいま約800人の不登校生がいるそうですが、その内の福井市内の約200人をほぼ同じ数の学生が面倒をみます。1回2時間で、学生には交通費として2000円が教委から出ます。


 学生たちはただふらっと子どもと関わるのではありません。活動ごとに必ずネット(e-ポートフォリオ)で、今日はこういうことをやった、こういう問題を感じたなど記録を書きます。それに対して、大学の教授連中が必ず確認し、ネットで意見を書きます。さらに、月1回、全員が集まり、小グループで、カンファレンスを行い、それぞれの事例を報告し、自分の子どもへの対応を振り返り改善策を考えさせます。これには、市の適応教室の専門のカウンセラーも加わるとのことです。


 この活動は、福井大の教員養成のカリキュラムの中で中核をなす3つの「教育実践研究」のうちのひとつで(教育相談実習、ライフパートナー事業、その他は授業づくりと総合学習の探究カリキュラム)、まさに正課そのものなのです。もちろん単位になります。


 このプログラムを終始リードしてきた福井大の先生が言っていましたが、福井大では教師としての資質を学生として磨くうえで不登校生との関わりが必須であるとの強い信念のもと実行してきたのです。しかも、付け焼き刃でなく、平成5年から、はじめは希望学生だけで行い、平成15年からは文科省の補助金も得て教師志望学生全員に必修化したのだそうです。


 実際の活動の中身ですが、大学発行の小冊子によれば、もちろんそう簡単にすべてがうまくいっているわけではなく、学生が家庭を訪ねても子どもに会わせてくれなかったり、子どもの先生への不満を学生がポートフォリオに書いたらそれが拡がって学校から抗議されたり、約束した日に学生がたまたま行かなくてその後相手との接触が不可能になったりなどいろいろあったそうです。


 しかし、この難しい事業がここまで続いているのは、教師としての成長にこういう実践ー反省というサイクルが非常に有効であるとともに、「学習」と「支援」を一方に偏らずに位置づけてきたことにあるとまとめています。


 現地で実際に担当の先生から説明を聞いたとき、ぽつりと、「学校復帰などを目標にはまったくさせていません」と言っていたことが強く印象的でした。これは不登校問題を扱うときの急所です。


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テーマ : 教育問題について考える
ジャンル : 学校・教育

Tag:教育と人間の希望を求めて  comment:1 

プロフィール

村山紀昭

Author:村山紀昭
長い間、北海道教育大学で哲学を教え、1999年から私大を含めて10年間学長をつとめました。
退職後、教育と福沢に関する月1回の勉強会「教育人間塾」を続けるとともに、文科省の委員会委員や北海道教育委員会のアドバイザーとして、教育政策とくに教師教育政策に関わってきました。
平成26年4月からはフリーなスタンスで教育や福沢について思索する日々です。
趣味は音楽とオーディオ、クラシックと初期ジャズが好き。

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