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資質能力向上の答申具体化のための検討が始まります

8月末の教師の資質向上の答申に基づき、現行の教職大学院の中身の見直しや専修免許取得に学校実習を含めるなどの具体策を検討する協力者会議が、9月26日にスタートしました。

国立私立の大学、教育委員会、民間の学校支援関係者など18人で、年内を目処に案を練ります。私も委員として入りまとめ役をやります。日本の教師のパワーアップへ、確実な一歩を進められればと思っています。

その第1回協力者会議の資料が公開されています。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/093/shiryo/1326294.htm

資料3「検討項目について」にご留意ください。今回の検討は3段階免許の具体化ではなく、現在の教職大学院、教育学研究科、一般大学院の教職課程の中身の充実化が課題です。

教科を含む高度専門職に相応しい修士レベルコースの再設計、私学も参入しやすい設置基準の柔軟化、一般大学の専修免許への実習義務づけなどが検討される予定です。

そして、再来年度の教職大学院の新増設、教育学研究科の改革、一般大学専修免許条件の変更等の実施のため、来年3月の所定の規則改正が目指されています。再来年4月実施のためには、各大学は来年春までに実施計画を提出しなければなりません。

実際の検討は、省令や告示の個々の改定という細部になりますが、大事なことは、教師志望の多様な学生にも現職教員にも、魅力あり効果的な修士レベルをどうコースデザインするかです。その中で課題となっていた教職大学院の教育にどう教科を組み込みかも検討されます。

修士レベルの教育体制の量質充実の起動力になる現職派遣増については、大学院派遣を積極的に進める都道府県への研修定数増などが用意される予定です。

一気の免許法改正や修士卒へのインセンチブの付与の前に、確実に修士レベルの必要性の理解が拡がるように実績を上げるための検討が趣旨で、各大学・教育委員会の主体的・意欲的な取り組みを促すものです。

中でも国立教員養成大学学部は、その設置目的がまさに教員養成であることから、信頼される教師育成の大目的のために、厳しい自己吟味が求められるでしょう。

「学び続ける教師」はいま、全教師に必須の課題だと強く思っています。学び続けない教師は教師としてやっていけません。教師の資質能力問題は、学校や教師への不信が沈殿しつつある現状で、まさにアクチュアルな課題です。

同時にそういう教師を養成するために、教員養成に関わる大学研究者の責務は重いことを徹底自覚してほしいと思います。大学のミッションを度外視した現状維持意識ではやっていけません。意識転換が不可欠です。

なお、これらに関連した当面の課題について、私見を雑誌「シナプス」9月号に書いています。http://www.kyoikushinsha.co.jp/book/4015/index.html

近く出る日本教育学会の報告書には、もう少し長めの文章が掲載される予定です。
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Tag:教育  comment:0 

こう読むー修士レベル化の中教審答申

[ 諮問以来2年ほどかかった教員養成の修士レベル化を中心とする中教審答申が、8月28日正式決定され文部科学大臣に答申されました。答申の報道直後から、ツイッターはじめネット上でかなりの数のコメントがありました。
中に、大学にただ長くいさせるのでは資質の向上にならないとか、一般の総合大学では免許が取れなくなるといった、新聞報道を元にした誤解とも言うべき意見も少なからずみられました。
私は、この間、答申案検討の中教審部会委員、ワーキンググループ委員をやっていましたが、委員としての立場は別として、少しでも正確に答申内容を見てほしいとの思いで、ツイッター上で集中的に私見をコメントしてみました。以下はそれをまとめたものです。
答申は、教師の資質能力向上のために多方面にわたって書かれていますが、ここでは、関心が集中している、「修士レベル化」がいつどのような形で構想されているかを、答申原文に即して整理することに絞りました。もちろん私個人の解釈と考えであり、内容上のすべての責任は筆者にあります。
答申発表を機会に、教育や教師の資質に関心のある方々で幅広く議論されることを期待しています。なお、この文章と併せて、本ブログにある筆者の教師の資質能力や教員養成改革に関する文章を読んでいただければ幸いです。]


修士レベル化に関する8月28日の中教審答申全文がアップされています。http://t.co/KhqR8tvB 長い文章ですが、ぜひ原文に当たって読んでみて下さい。

この答申について、①採用前に修士が義務づけられ経済的負担が増える、②大学に長くいさせても資質向上にならない、③国立の教員養成系中心になり開放制が崩れる、④総合大学や私大で教師になることが難しくなる、④実習重視で専門知識が弱くなり専門学校化するなどいろいろな疑問が出されています。それらも念頭に置きながら、自分なりに答申から読み取ったポイントをまとめてみました。

(1)将来の3段階免許と当面の改善策とを区別

答申は修士レベル化だけを言っているわけではありません。今から現職教員の修士=専修免許取得者をどうやって増やすか、種々行われている現行の公的研修を改善し専修免許の単位に認定することの可能性、研修プログラムについてもっと積極的に大学と教委とが協力し合う必要性、社会人など多様な人材の参入を促進する方法、管理職の力量アップの重要性、修士レベル化を国公私の大学連携で進める課題など、広範にわたって提案が行われていますが、ここでは焦点の修士レベル化に絞ってまとめてみます。

まず、将来の3段階の免許制度の提案と当面の改善策の提案とがはっきりと分けられていることにご留意ください。3段階免許への免許法の全面改正はかなり先のことです。答申はその方向を、高度専門職としての教職=修士レベル化と明言しつつ(「教員養成を修士レベル化し、教員を高度専門職業人として明確に位置付ける」P5)、それに向けてどういう課題があるかを、答申の過半を占める「Ⅲ 当面の改善方策」で詳細に論じています。

そのポイントは、①現行制度でも現職が修士を取れるように教職大学院を拡充する、②同時に学校課題への取組が主だったのに対して教科も含めてより幅広く学べるものにする、③総合大学の専修免許取得に当たって一部実習を課す(現行では学部で免許を持っている場合、ほぼ専門科目だけで専修免が取れる)が中心で、学部については研究授業への過度の傾斜を避けて、日常的に学校ボランティアなどで子どもと触れるようにするなどです。

(2)当面の課題の中心は、現行研修の改善と高度専門職にふさわしい教育内容の確立

同時に、教育委員会からの現職派遣の増と各種研修の改善が提起されています。つまり3段階免許への免許法全面改正の前に、実際に教師の資質を上げる方策の実施を強く提起しているのです。特に初任者研修の抜本改善が強調されています。学校が、小規模化や多忙化で、若手教師を育てる力が弱くなってきていることをふまえてのことのことです。

しかし、現職の派遣増も容易ではありません。各地域で現職の大学院入学の希望は多いのですが、現職休職(多くは1年間)のあとを埋める教員の加配が不可欠ですし、授業料の負担もあります(大学と教委で授業料減免をやっているところも一部あります)。現職派遣増の成否は、文科省からの財政支援次第でしょう。同時に、教員の資質向上への各教委の自覚と意欲が大事です。そのためには、各教委の信頼に耐えうる中堅リーダー育成の内実ができなければなりません。

学部卒については、経済的負担にも拘わらず大学院でより力を付けてから教壇に立ちたいという学生(ストレートマスターと言います)に、採用試験の一部免除などの措置が取られつつあります。実際にストレートマスターの教員採用率は非常に高くなっています。しかしだからといって、相当の授業料を負担してまで大学院を志望するのには、長期インターンシップなどで、学生が本当に力を付けたと実感できる修士コースの中身の充実がもっと図られなければなりません。

学卒者・現職教員双方について、改正前の最大の課題は、大学院レベルの高度さで資質を確実につけられる教育内容を具体的に作り上げることでしょう。これなしにただ修士レベル化を言っても無意味です。この蓄積を基にして初めて3段階免許へ進むことができます。

(3)3段階免許はいつ?

さてその上でいつ免許法を全面改正するか・・・これについて答申はまったく触れていません。いままで述べた改善策の準備によるし、何よりも修士レベル化の受け皿がどう用意できるか難しいところがあるからです(全国の新規採用者約3万人、現在教職大学院入学定員800強、教員養成系教育学研究科入学定員3300、国公私の総合大学等の専修免許取得者約1万人)。もちろん政治的・財政的状況も大きく影響します。少なくとも2,3年内は無理ではないかと見ています。

大量退職時代が終わってからという見方も有力です。しかし、そこまで教師の資質問題について待っていられるでしょうか。学校の教師育成機能の衰えや現行の各種公的研修の効果への疑問は拭えません。私見ですが、修士レベル化を、日本の教員養成の質の大改革のチャンスとして、できるだけ早期に実現した方がいいと思います。教師の資質能力の改善と向上は、国民世論からも待ったなしだと言えるでしょう

では、3段階免許実施の時、免許取得と採用はどうなるのか。ポイントは、学部=基礎免と修士=一般免、それらと採用との関係です。ここを正確に見ないと、改正後は、採用前に教師志望者全員が修士まで行かなければならなくなるとだけ捉えられることになります。これは正確ではありません。

(4)一般免許と基礎免許との関係

新免許制度については次の2点にご留意下さい。①一般免許が「標準免許」で「当面は」学部の「基礎免も併せて創設する」が「早期に一般免許取得が期待される」となっていて、将来像としては一般免許が「標準免許」で、それなしには教師になれなくなるように書かれています(8~10P)。

他方、②基礎免が維持されている段階で、一般免許と基礎免と採用の関係について3つのパターンが記されています。1)一般免許取得後採用、2)基礎免許を取得し「採用直後初任研と連携・融合した修士の課程で」一般免許を取得、3)基礎免取得採用後一定期間(7~8年?)のうちに一般免許取得の3つです(「一般免許状(仮称)」と「基礎免許状(仮称)」との関係、P11)。

この3パターンについて、答申は、「それぞれにメリット、デメリットがあり、地域の実情に応じて様々な試行の積み重ねが必要」としています。つまり、①についても②についても確定化を避けているのです。ここがわかりづらいかもしれません。でも、まずは、①の一般免許=標準化と、②基礎免許から一般免許の3パターンとを区別して下さい。

ここはこうとらえられるでしょう(あくまでも私見です)。将来の一般免許標準は間違いなく想定されているが、それまでは学部=基礎免が維持されるわけで、その際、学部卒で採用されその後修士=一般免を取得しり道が明記されているのです。

曖昧といえば曖昧ですが、一気に修士6年制による教員養成が現実的でないことをふまえた配慮とも言えましょう。この点の明確化を、資質向上への関係者や国民世論、さらには財政的見通しに託したと言っていいかもしれません。

注意していただきたいのは、「基礎免」が答申で否定されているわけではないことです。また、論理的に言って、基礎免がそれ自体修士レベル化と矛盾するものでもありません。実際問題として、そう簡単に学部での免許取得を完全に止めることなど簡単にできるわけでもありません。そこで、将来の「標準化」は別にして、まずは②で考えてみることができます。

(5)3段階免許のもとでどうやって教師になるか

もし3段階免許に法改正された場合、大きくは、学部から直接修士に進み専門や教職の力を十分付けてから採用試験を受け教師になるケースと、学部卒で試験を受け採用されて教師になり、その後一般免許を取るの二つのケースが考えられます。

この二つをただ並べた場合、お金と時間をかけて修士に行くより学部卒で教師になった方がいいと一般には思われるでしょう。ここは考えどころで、法改正後もあの3パターンが維持できるかどうかは問題が残るところです。ただ、修士卒の方が確かに力がつき採用でも有利が明確であれば違ってきます。実際に高校教員については、現状でもかなりの数、総合大学の修士卒で専修免許取得者です(答申ではさらに博士修了者の高校教員への参入を謳っています。P25)。

他方、学部卒で採用後修士の場合は、経済的負担は軽減されるし、採用後10年近く経ってからだと教師としてのブラッシュアップとして、現行の現職派遣と同様なやり方で(福井方式の勤務しながらもありうる)十分意義があります。ただそれでは、学校の教師育て力の低下のもと、新卒採用者はどうなるのかという問題が残ります。学卒新採用者が、採用直後から教壇に立ち、ただちに一人で子どもたちと格闘する困難さは想像以上のものです。すでに東京や千葉では、初任研修を3年間に延長し、若手教師育成の長期的体制を整えつつあります。

(6)採用直後の修士コースの意義

先の2)「採用直後初任研と連携・融合した修士課程」というのはこの点で意味があります。しかし、初任段階で勤務しながら修士コースというのがイメージしづらいのも確かです。担任を持たないにしてもアカデミックコースたりうるか?かつ大量の補充教員の必要が出ててきます。かつ必要有功であっても、これは教委サイドだけで決断できることか。

難問です。でも答申はそれも含めて「試行を積み重ねる必要」があるとしています。未知に属するチャレンジングな試みです。でもやってみる価値は大いにある。ただそれは、国の全面バックアップなしには無理ではないか。コース設計は工夫と努力次第でできますし、世界に類のない挑戦でもあります。

学校現場に即した、理論と実践の往還と自らの振り返りによる新しいタイプの高度専門職養成への挑戦です。一人で教室で子どもに面する若い教師たちに、そのくらい念入りな育ちを社会的に用意するのは無用でしょうか?

法改正後の基礎免の維持について、答申は確定的ではありません。でも基礎免が維持される限り、上述の初任段階での修士化の道を放棄すべきでない、むしろ新たな挑戦課題にすべきと思います。3万人の新採教員にもう少し自信をもって教育に当たって貰える体制を全国的に作りあげることには大きな意義があります。一人ひとりの教師の個別の力量に依存するだけでなく、組織的に日本の教師の「底上げ」が可能になります。

答申は、上記①についても②についても、制度的に確定的な内容にはなっていません。ただ強調されているのは、たなぼた式に教育にお金が回ってくる状況でない中で、まずは教育関係当事者で工夫し努力し、日本の教師のレベルアップに向かおう、そのための具体的準備に着手しようということだと思います。その方向性は、明確に示されており、それは日本の教員養成の大改革を期するものとなっています。

(了)
テーマ : 教育
ジャンル : 学校・教育

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プロフィール

村山紀昭

Author:村山紀昭
長い間、北海道教育大学で哲学を教え、1999年から私大を含めて10年間学長をつとめました。
退職後、教育と福沢に関する月1回の勉強会「教育人間塾」を続けるとともに、文科省の委員会委員や北海道教育委員会のアドバイザーとして、教育政策とくに教師教育政策に関わってきました。
平成26年4月からはフリーなスタンスで教育や福沢について思索する日々です。
趣味は音楽とオーディオ、クラシックと初期ジャズが好き。

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