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教育と教師について思うこと

[ しばらくブログを休んでしまいましたが、文科省関係の仕事がこの3月末に終わり、久しぶりにゆっくりと考える時間を取れるようになりました。以後、ブログにいろいろ書いていくつもりです。その最初として、ツイッターで書いた、教育と教師に関する総論的な断想を掲載します。]

教師の資質向上に関して、最近リフレクション=省察の具体的なあり方について考えている。省察というタームはこの10年ほど教師教育でもずいぶん拡がったが内実抜きに言葉だけが一人歩きしている感もなきにしもあらずだ。

例えば学生の教育実習後の事後検討会や学校での公開授業の反省会、これはリフレクションと言えるか。まだ多くの場合、板書がどうだとか発問がどうだといった「上から目線」の先輩からの指摘が圧倒的だ。こういうのはリフレクションでも省察でもないと思う。

経験年数が多ければ、個々のスキルについて先輩がああだこうだ指摘するのは簡単で誰でもできる。しかしそうしたものは、往々にしてケースバイケースで、それを真に受けたら却って間違うことが少なくない。スキルはTPOでありかつ属人的なものだ。

もうこういう伝統的な学校での研修文化は止めにした方がいい。学校への保護者や社会の厳しい目の中で管理職や先輩からのこうした目線で自信を失い成長できない(場合によっては教職を断念)事例が少なくない。

教師の仕事はショーンが言うように、医師や弁護士などと違い合理的法則を状況に合わせて適用するのとは異なる。教師ー子ども関係はあくまでも相互的で個別的で法則の適用応用ではまっとうされえない。

だから教師の資質向上は、「実践の中で」自ら作り上げていくべきものだ。これがリフレクション。教師はリフレクションにより「自ら成長する」以外に力量を付け磨くことは基本的にできないのだ。

この自己成長に焦点を置いたとき浮かび上がってくるのが教師の価値感、人間観、教育観などの感情的側面。ここに目を向けたのがショーンを受け継いだオランダのコルトハーヘン。教師の感情的な面を中心とした省察を「コア・リフレク ション」という。

例えばある先生が授業で子どもに「どうしてこんな簡単なかけ算ができないんだ」と言ったとすると、そこにはかけ算の教え方に関する教師の技術だけでなその教師のあらゆる意味での感情が潜んでいる、とコルトハーヘンは言う。

リフレクションは本来個々の教育技術への反省や習得ではない。多くの場合「属人的」な感情、価値感にまで食い入らなければ自らの成長の糧にはならない。

さらにその実際のあり方も、先輩からの一方的な欠点や弱点の指摘ではダメだ。信頼関係が成り立つ小さいグループでの対話性、「語りと傾聴」が基本だ。

教師教育での語りと傾聴、ナラティブラーニングをフィンランドの諸理論をもとに展開しているのが北海道教育大学の庄井さんで、その発想はたいへん優れていると思う。コルトハーヘンのコア・リフレクションとナラティブラーニングとの融合が今後の方向だと思う。

すでに日本でも、福井大教職大学院などでこうしたリフレクション、実践の中での省察が、先輩ファシリテーターのもとでの小グループカンファレンスという形で実績ができつつある。学校内では、メンターと若手教師との親密な関係の形で。

できるだけ早く、校内研修、初任者研修、学部大学院の教員養成で、こうしたリフレクション論に基づいた方法が定着されるべきでないか。そこでは先輩教師が新任、若手教師と共に実践の中で学びながら成長する。

教師が育ちづらい、育たない学校は学校と言えるか。教師が育たない学校で子どもを育てるなどどうして言えるか。いま日本の学校はあまりにも教師が育ちづらいものになりつつあると言わざるをえない。

日本の教育は国際的に見てかなり高い水準にあるのは間違いないし、それが日本の教師のこれまでの一定の質によって支えられてきたのも確かだ。しかしこのままでいいとは言えない。子どもと社会の変化は学校システム以上に変化が激しい。

課題解決力もいい、思考力もいい、21世紀型スキルも十分意義がある。しかし日本の教育がそういう方向へさらに飛躍するためには教師力の向上が不可欠だ。教育改革と教師教育改革は二つながらやらなければ実効性がないと思う。これはぼくの祈りにも似た思いだ。
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Tag:教育  comment:2 

プロフィール

村山紀昭

Author:村山紀昭
長い間、北海道教育大学で哲学を教え、1999年から私大を含めて10年間学長をつとめました。
退職後、教育と福沢に関する月1回の勉強会「教育人間塾」を続けるとともに、文科省の委員会委員や北海道教育委員会のアドバイザーとして、教育政策とくに教師教育政策に関わってきました。
平成26年4月からはフリーなスタンスで教育や福沢について思索する日々です。
趣味は音楽とオーディオ、クラシックと初期ジャズが好き。

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