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共同シンポジウム「専門職養成と教育学」に参加して

12月16日午後、東大で、教育学関連諸学会の「専門職養成と教育学」という共同シンポジウムに出ました。

中教審8月答申に基づき高度専門職養成として、教育学修士課程と教職大学院の見直しが問われているなか、タイムリーな企画で、リアルな政策に教育学がどのように関心を寄せているか、教育学関係の研究者が、修士レベル化や高度専門職養成にどのような関心と考えを持っているか興味があります。教育に関する改革には、なんといっても教育学研究者の理論的実践的関与が必要ですし。

最初のスピーカーは村田晶子さん(早稲田大)。社会教育として、理論と実践の往還の専門職養成について、福井大などの例をあげて紹介しました。僕の関心からすると、ちょっと周辺的かも。

2番目は、東大の若手の小方直幸さん(東京大)。教育学研究者がどういう教育組織で仕事をしているかから始まり、なかなか実際的で論点がはっきりした話です。前置きで、今日のスピーカーに養成系の研究者が入っていないことに疑問を呈していました。中心内容は、大学教育の、専門職モデル、探求モデルなどの類型化。

小方さんは、専門職モデルと教養モデル、探求モデルを、社会の需要と供給にら関連づけて論じます。その具体例としてコンピテンスモデルをひきます。これは、分かりやすく面白い視点。

かつ小方さんは、専門職モデルと教養モデルとの乖離をかなり意識しているようで、具体的な提案としては不十分ですが、現実課題意識をしっかり持っているなと感じました。最後に、専門医一型、ニ型、総合診療型と、医学と対照させて教育学のあり方を説明していました。最近専門職として医学と教育との比較の議論がいろいろ出ていて、アイディアとしては面白いと感じました。

最後は山名淳(京都大)さん。大変率直に、教員養成との関わりで教育学が展開されて来ただろうかと反省の弁。本論は、教育哲学に関して理論と実践の有り様を論じようとするもの。哲学で、唯一学校というフィールドを持つ教育哲学からの新しい息吹を感じさせます。真摯な論じ方に好感を持ちました。

山名さんは最後に、教育哲学が教員養成にどう関わるかについて、教職スタンダード作成への関与や教育政策の省察など具体的に提起しました。さらに、教育哲学が学校現場でどう評価されているかのアンケート結果も。ここまで教育哲学が政策や学校現場に関わろうとしているのを知ってちょっと新鮮でした。

三人の報告は昨今の教職の高度化や教員養成改革からの刺激をそれなりに受け止めています。しかし実際の政策との真に有効な絡み合いはまだまだの感です。また、教職高度化と学術の高度化とは必ずしも一致しないという思いが強いのは当然といえば当然です。でももう少し踏み込むとまた違った光景が見えるはずだとも思います。

政策のアカデミックグラウンドが大事というのは僕の持論で、そういう点から、教育学会のこうした新しい息吹に新鮮な思いと期待感を持ちました。

3人の報告が終わり討論時間が30分ほど。進行がいかにも型通りで(いちいち報告者の話の要旨を司会が繰り返すのは時間の無駄だと思う)、討論は活発ではなかったのですが、折角の機会ですから、教育学研究への期待の気持ちを込めて、次のような発言をしました。

教職の高度化と学術の高度化との緊張関係を踏まえながらも、教員養成大学や学部のなかでの教育学や教育学部のアイデンティティの再吟味が必要で、そうした視点から、教育学研究者こそ今の修士レベル化や高度専門職養成のプログラム化に積極的に関わってほしい、と。

午後4時過ぎにシンポジウムは終わりましたが、そのあと懇親会があり、藤田英典さん、佐藤学さん、広田照幸さん、さらにはツイッターで知り合った何人かの新進の教育学研究者の方々といろいろ有意義な懇談ができました。

ツイッターで知り合った方とこうして実際にお会いするのも、楽しく知的刺激を喚び起こすものです。その中のお一人は教育哲学で、京都大の山名さんの報告と併せて、教育哲学会の新しい息吹に触れ、もう少し若ければ教育哲学の世界でもう一度哲学に邁進したいという夢想に思わず駆られました。

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テーマ : 教育
ジャンル : 学校・教育

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プロフィール

村山紀昭

Author:村山紀昭
長い間、北海道教育大学で哲学を教え、1999年から私大を含めて10年間学長をつとめました。
退職後、教育と福沢に関する月1回の勉強会「教育人間塾」を続けるとともに、文科省の委員会委員や北海道教育委員会のアドバイザーとして、教育政策とくに教師教育政策に関わってきました。
平成26年4月からはフリーなスタンスで教育や福沢について思索する日々です。
趣味は音楽とオーディオ、クラシックと初期ジャズが好き。

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